「その髪は、君の誇りになる」――孤独な魔女と幽閉された天才が紡ぐ、魔力至上世界の恋革命!

「この髪じゃ、どうやっても魔導師になんてなれないよね」

煤けた煉瓦色の髪を結びながら、アシュリーは自嘲気味に笑った。月色の輝きを持つ髪の者こそが強い魔力を持ち、優秀とされる世界で──彼女の髪色は、可能性の否定と等しかった。

だが彼女には、誰よりも繊細な魔法操作と、筆記による理論構築に長けた天賦の才があった。

それを見抜いたのが、魔法教育省の長官であり、彼女の師匠だった人物。

「君に一時的な魔導師資格を与える。そして、ある任務を任せたい」

その依頼こそ、幽閉された天才魔術師・ユリウスの教育係。

「彼には誰も触れられない」――孤独な魂が交わる奇跡の邂逅

ユリウスは、過剰な魔力を持つがゆえに、他者との接触が許されない青年。彼の魔力は、触れた者の魔力を暴走させ、命にさえ関わる。

しかし、魔力の圧が極端に低いアシュリーだけは、彼に近づくことができた。

「君だけが、ここに来られたんだね」

囁くようなその声に、アシュリーの胸が不思議にざわついた。

彼の部屋は、書物と静寂に満ちた世界。初めは警戒していた彼も、アシュリーの誠実さと知性に心を開き始める。

「君の声は、僕にとって呪いを鎮める歌のようだ」

言葉の端々に、孤独と渇望がにじんでいた。

飴降あめり氏が描く、じれじれ純愛と世界観の美しさがたまらない!

本作の魅力は、何と言ってもアシュリーとユリウスの”静かな熱”。

急展開はない。だがその分、ひとつひとつの出来事が丁寧に積み重ねられ、ふたりの距離が少しずつ近づく。

アシュリーが見せる「諦めながらも諦めていない強さ」、ユリウスの「世界を知りたくても触れられなかった不器用さ」。この対比が、読者の心をじわじわと掴んで離さない。

描き下ろしカラーイラストでは、光と影のコントラストでふたりの孤独と希望が見事に描かれており、物語の象徴ともいえる一枚となっている。

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この物語は、恋を知らなかったふたりが、言葉とまなざしで少しずつ変わっていく過程にこそ価値がある。

そして最後には、あの煉瓦色の髪が、世界で一番美しく見えてくる。

『落ちこぼれ魔女と恋を知らない天才魔術師』──その出会いは、魔力では測れない価値を、私たちに教えてくれる。

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